今やビジネスにおいて欠かせないツールのひとつ、メール。
簡単で便利だからこそ、気をつけなければいけないルールやマナーがあります。
今回は、ビジネスでメールを送る時のマナーについて、いくつかポイントをご紹介します。
ツールとしての選択
ビジネスでメールを使う時、事前に考えなければならない大切なことがあります。
それは、連絡手段としてメールが適切かどうか。
送る相手の世代や業種・緊急性・重要度・複雑度などによっては、他の連絡手段(電話や手紙、直接会って話すetc…)を選択する必要があります。
①送る相手の世代・業種によって使い分ける
自分にとっては当たり前の連絡手段だと思っていても、人によっては「メールはカジュアル」ととらえることもあれば、「業界的に非常識」と思われてしまう場合も。
そのため相手や用件によって配慮することが大切です。
②緊急の用件には電話で連絡
メールは相手の不在に関わらず、いつでも送ることができるツールです。
それはつまり“相手がいつ見るか分からない”ということ。
緊急の内容を伝えたい時は、メールではなく電話を選択しましょう。
③重要または複雑な要件の場合はメール+電話
“メールを送ったのに届かない”“文字化けして内容や差出人が分からない”など、メールでのアクシデントは少なくありません。
特に重要な内容のメールがそのような状態になってしまうと、大きなトラブルにつながってしまうことも…。
そんな状況を防ぐために使いたいのが電話。
メールと併せて「これからメールを送ります」や「しばらくして届かなければご一報ください」などと電話をすることで、確実性を高めることができます。
また、メールで資料を送った後に「複雑な内容ですので、お会いする前に添付資料にお目通し頂ければ幸いです」と電話をするなど、それぞれのツールの特徴を活かすことで、スムーズにコミュニケーションをとることができます。
メールの書き方に思いやりを
メールを送る時の最大のマナーは、ずばり「相手が読みやすいように」という思いやりを持つこと。
読みやすいメールを作成するポイントは大きく分けて3つです。
①一目で内容が分かる件名
ビジネスの場では、日々多くのメールをやり取りします。
受信フォルダーには何通ものメールが更新され、「どのメールがどの内容だったっけ…」となることも少なくありません。
その時に役立つのが一目で内容が分かる件名。
件名だけである程度内容の予想がつけば、開封する優先順位の目途もつけやすくなり、検索もしやすくなります。
例)
× 「こんにちは」・「お疲れ様です」・「○○(名前)です」
〇 【ご連絡】○月○日(○曜日)営業会議につきまして
②差出人(自分の名前)を必ず明記
自分の名前は当然のことですが、ビジネスメールではそれにプラスして所属・連絡先を明記するようにしましょう。
メールを作成する際に必ず署名が表示されるよう設定しておくと便利です。
③敬意が伝わる書式を
ビジネスの場でメールを使う場合は、礼儀を踏まえることは必須。
無意識に無礼をはたらいていた…なんてことにならないよう、下記の注意点をおさえておきましょう。
●本文の始まりは、相手の社名・部署・肩書・氏名(敬称をつける)
●社名は正式なものを記載し、株式会社を(株)と略さない
●文頭に簡単な挨拶を
「お世話になっております」
「先日はありがとうございました」 など
(手紙のような頭語・結語・時節の挨拶は不要)
●相手が見やすいように改行位置を調整したり、段落間に1行空欄を入れる
・1行あたり35文字程度で改行
・意味のまとまりの良いところ5~7行程度で一段落とする
●日時などは左詰めの箇条書きに
●最後は簡単な締めの挨拶を
「よろしくお願いいたします」
「お返事お待ちしております」 など
【3つのポイントをふまえた例文】
件名:【ご報告】商品の納期とメンテナンスについて
株式会社○○
総務部 総務課
課長 山梨 太郎 様
先日はお忙しいところ、ありがとうございました。
××商事の武田でございます。
早速でございますが、
お問い合わせ頂きました商品についての納期と
メンテナンスについての詳細をお伝え致します。
①納期日時について
【日程】2017年●月●日(●曜日)
【時間】午前10時頃
②メンテナンスについて
毎月28日にメンテナンス担当がお伺いいたします。
その都度基本点検とメンテナンスを行いますが、
不具合等発生した際は随時対応致しますので、
その際はご一報ください。
以上につきまして、
ご査収の上よろしくお願い申し上げます。
**********************
株式会社××商事
営業三課 武田 広子
〒400-△△△△
山梨県甲府市****
TEL 055-***-**** FAX 055-***-****
e-mail takeda@*****
**********************
機能を使い分ける
メールには宛名を選択する欄に“TO(宛名)”と“CC”と“BCC”という機能があります。
それぞれの機能は下記の通りです。
●TO(宛名)
メールを送る相手のメールアドレスを入力
●CC
複写を送りたい相手のメールアドレスを入力
●BCC
CCと同様複写を送りたい相手のメールアドレスを入力するが、TOやCCや他のBCCでの受信者には表示されない
これらの機能をふまえたうえで、使い分ける目安はこのようになります。
●TO(宛名)
“あなたに送っていますよ”という意思表示
●CC
参考にこの人にも知らせておきたい
TOに送ったことを報告したい
●BCC
メールを同時送信したことを他の受信者に知られたくない
面識がない複数の相手にメールを送る
なお、CCにメールアドレスを入力して送信する場合は、本文の宛名(TOのアドレスに当たる人)の下に、『(CC:○○様)』を明記するのがおすすめ。
これによって宛名の人がCCに別のアドレスが入力されていることに気づきやすくなり、情報共有漏れや返信時のトラブルが防げます。
例)
株式会社××
総務部 総務課
課長 山梨 太郎 様
(CC:田中 様)
メールの特性はスピードと簡潔さ、そして記録に残るという利便性にあります。
礼儀を大切にしながら、その利便性を活かすことがビジネスメールマスターへの第一歩。
うまく使いこなして、ビジネスでおおいに役立てていってください。
次回は返信のマナーについてお伝えします。
<text 木村 由紀子>
メールを送る時のポイント
●状況・相手によってメールを使うか判断
●相手が読みやすいようにメール作成
●相手にきちんと敬意をはらう
●機能を使い分ければより便利に
木村 由紀子 きむら・ゆきこ
学習院大学経済学部卒業。
マスコミで経営企画室、人事部を経て社長秘書を勤める。
その後、静岡で旅館の若女将を経験。
そのキャリアを活かし株式会社ファースト企画代表に就任。
サービス接遇、ビジネスマナーの向上を中心とした講演研修活動を行っている。
企業研修(接客・接遇・ビジネスマナー)随時受付中。
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