大切なのは相手に“納得”してもらうこと!
クレーム電話対応の心得
誰でも怒っている人や厳しい口調の人のクレーム電話は受けたくない、避けたいと思うもの。残念ながら、クレームは対象が商品・サービス・システムなど多岐にわたり、また人によってクレームになる内容・対応は異なるため、“こうすれば間違いない”という正解はありません。
「だったらクレーム電話対応をするとき何を心がければ良いの…?」とお思いの方も多いはず。今回はそのヒントになるポイントをいくつかご紹介します。
初期対応の大切さ
クレームは、最初に対応した人がキーポイントになります。ここでの対応が悪いとクレームは最初の原因その物より“対応が悪い”という、より感情的な二次クレームへと広がり、その後の対応がより難しくなります。
クレーム電話対応のポイントは3K
①聞く
きちんとメモを取りながら話を聞き、商品名、個数、不具合の様子など、時には復唱してきちんと聞いていることを相手にも感じてもらいます。この時に聞き取った情報によってその後の対応が変わってくるので、正確に聞き取るようにしましょう。
②くみ取る
お客様が何に対して一番クレームを言っているのかを汲み取ります。
例)クレーム「商品が無いってどういうこと?!」
→解釈①:その商品が無いことにクレーム
解釈②:「その商品が無い」と従業員が伝えた方法にクレーム
この部分の解釈に根本的にズレがあると、結果的に的外れな対応になってしまいます。
③感じ取る
クレーム対応でもっとも難しく重要なスキル、それは相手がどのようにしてほしいのかを感じ取ることです。
例)クレーム「商品が無いってどういうこと?!」
→心情①:話しをして心情をわかってほしい
心情②:商品を早く取り寄せてほしい
心情③:意見を今後に活かしてほしい
このとき相手が望んでいるポイントを外してしまうと、「商品を送ればいいってものじゃないわよ!」「1週間後じゃ意味がないでしょ」と、逆に怒りの炎に油を注いでしまうことにもなりかねません。
使い方に要注意!NGワード
クレーム対応では、言葉づかいがとても重要です。ふさわしくない言葉を使うと、事態はどんどん悪化してしまうことも。特に次のフレーズは要注意です。
<否定する言葉>
例①:そんなはずはないのですが
例②:普通はないのですが
例③:そうはおっしゃいますが
<疑う言葉>
例:本当ですか?
<見下す言葉>
例①:先ほども申し上げましたが(だから~)
例②:それはですね~、あのですね~
自分自身が担当者ではない場合
クレームの内容によって別の担当者に代わった方がよいと判断した場合は、全面的な謝罪ではなく「お客様のご気分を害したこと」「お手を煩わしたこと」などに対する謝罪のみをし、できるだけ速やかに担当者に、相手の名前・クレーム内容を伝え引き継ぎます。
例)「○○様、折角のプレゼントでしたのに、ご気分を害され誠に申し訳ございません。××については詳しい者がおりますので、お電話代わらせていただきます。」
自分が担当ではないのに、あまり長く詳しく話を聞きだし、結果「私は担当ではないので・・・」では相手は更に嫌な気分になってしまいます。
クレーム対応で最終的に目指すところは、相手に「やはり電話して良かった」と心の中で思ってもらうこと。「二度と行かないよ!(買わないよ!)」と言われるか、「また利用させてもらうね」と信頼が深くなるか、こちらの対応次第で相手との関係は大きく異なります。
大切なことは相手の気持ちにできるだけ沿い、説得するのではなく、納得してもらえるように努めるということ。ぜひみなさんもそれぞれの適切なクレーム電話対応を身につけ、そこから相手とより深い信頼関係を築くことができる社会人を目指していってください。
<text 木村 由紀子>
クレーム電話対応のポイント
●キーポイントは最初に対応した人
●聞く・くみ取る・感じ取るの3Kが大切
●言葉づかいに要注意
●すみやかに担当者へ引き継ぐ
●“説得”するのではなく“納得”してもらうように
木村 由紀子 きむら・ゆきこ
学習院大学経済学部卒業。
マスコミで経営企画室、人事部を経て社長秘書を勤める。
その後、静岡で旅館の若女将を経験。
そのキャリアを活かし株式会社ファースト企画代表に就任。
サービス接遇、ビジネスマナーの向上を中心とした講演研修活動を行っている。
企業研修(接客・接遇・ビジネスマナー)随時受付中。
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