ジビエ＆ワイン
ブラッスリー山梨
[ 甲府市 ]

甲府中心街を賑わすグルメ横丁の一角。小さな間口の奥には、なんとも小洒落たブラッスリーが。こんな場所に本格ジビエとワインが楽しめる小粋な店が存在するなんて、だれが想像するだろう。細長い店内は、フランスの大衆酒場を彷彿させるカウンター席と奥にテーブル席がひとつ。様々な店がひしめく横丁の中で、独特の世界を確立するこの狭い異空間がワクワクを加速させる。

見知らぬ人たちが隣り合わせに座り、自然に会話がはじまり、コミュニケーションが生まれる。たまたま居合わせただけの他人だけど、それを無視できないほどの距離感…これがこの店のカウンター席の魅力。カウンター越しの陽気なシェフとの会話もまた心を満たしてくれる。ひとりでもふらりと気ままに立ち寄れる気軽さが心地いい。馴染みの店とは、きっとこんな気持ちなのかもしれない。

鹿肉を華麗な逸品へと変身

上質な生クリームをたっぷり使ったフランス人レシピそのままというキッシュは、衝撃的な美味しさ！キッシュと鹿肉のパテドカンパーニュ、伝統料理リエットのフィンガーフードが豪華3点盛りで楽しめる。トリュフオイルと共にいただく、低温ローストした県産の馬と鹿のカルパッチョは鮮度ありきの逸品。燻製の味を決めるソミュール液に漬け込んだジビエの燻製は、食の安全も考えた無添加のシンプルな味わいが光る。

フレンチシェフによるジビエとワイン

管理栄養士とソムリエの資格を持つフレンチ出身のシェフが達人の手によって下処理されたジビエに、伝統的フレンチで新たな魅力を吹き込む。鹿肉ステーキはトリュフとバルサミコのソースで、まろやかさをプラス。100％オリーブオイルで揚げたポテトは、季節によって違う種類の芋でアレンジする。年間わずか3600本のみという希少な三之蔵ルージュをはじめ、ワイン愛好家をうならせるヴィンテージが楽しめるのも精髄のひとつ。

手間暇を惜しまない本気

鹿肉は脂肪が少なくヘルシー。さっぱりとした味わいにどうアクセントをつけるかが美味しさのカギだという。ブルーチーズや黒胡椒のソースなど、ソースとの相性を考え、肉の焼き加減や付け合わせにも手を抜かない。ワインを飲むのか、食事メインなのかで、その都度塩加減まで調整する。ジビエのボロネーゼは生クリームをたっぷり使い、バターで乳化。手間暇を惜しまないシェフの本気が、ミートソースの概念を覆す。
山梨前菜ちょこっとおまかせ3点盛り 1,280円
ジビエの燻製 780円
鹿と馬のカルパッチョ 1,280円
北杜市産鹿肉ステーキ100ｇ 1,980円
ブラッスリー風ポテト 280円
山梨ジビエのボロネーゼ 1,680円
※価格はすべて税込

取材を終えて…

フランスの食文化の奥深さが垣間見れる異空間。距離の近さが何ともいえず絶妙で、気さくで陽気なシェフとのおしゃべりも楽しい。ここなら一人でも通いたい！と思える大衆的な雰囲気に反して、本格トラディショナルフレンチを感じさせる料理が、またここから抜け出せなくなる要因のひとつ。県産にとことんこだわった、飾らないブラッスリーで、ワイン片手にパリっ子さながら楽しみたい。