山梨県西湖に新たな食体験ができる複合型レストラン「Restaurant SAI 燊」がついに2024年6月1日オープンを迎える。
料理人でもあり猟師でもある豊島雅也氏を迎え、「奥・山梨料理」をコンセプトにした新ジャンルのガストロノミーを提供するとあって、オープン前から話題を呼んでいる。

「奥・山梨料理」とは、“食べることって何だろう？”、そんな問いを繰り返しながら、本当の豊かさとは何かを考えるきっかけになる料理だと、豊島シェフは言う。
焚付けとなる樹木にもこだわり、富士山に自生する植物や樹皮を香りによって使い分け、スープのブイヨンやスパイスにも、富士山で採集される天然の葉や芽を使うなど、従来の概念にとらわれず、「生きとし生けるものをすべていただく」という発想で挑む新たなガストロノミー。

【木・火・土・金・水】という自然界をあらわす5つの要素で紐解き、【火】【木】をあやつる薪火、【土】【金（鉱物）】に育まれる天然の食材、そして【水】の神が宿るとも言われる富士山とその伏流水である西湖の5つの要素を取り入れ、料理で表現していく。

西湖湖畔に佇む既存の建物をリノベーションし、料理コンセプトにも通じる「木・火・土・金・水」をデザインコンセプトに、地域の「木」材や「土」を取り入れ、地元の素材や作家とともに完成させた。店内は靴を脱いであがるスタイルで、檜のフローリングが足に心地いい。

料理は、全8品前後のシェフの本日のお任せコース1種類のみ。季節の素材を最大限活かすため、メニューの内容はその都度変わる。

メインディッシュの一例、八ヶ岳のハンターが仕留めた鹿肉のローストに、富士北麓で採れた筍を乳酸発酵させた「メンマ」を添えて。ソースは、地元で採れる山椒の木の芽を山梨の「甲州味噌」と合わせてペースト状に。

春を彩るコースは、日本の食材だけを使用した春の珍味からスタートする。春の訪れをあらわす若い豆、地元の日本酒蔵「笹一酒造」の最高級銘柄「旦」に漬け込んだカラスミ、春を象徴する独活と蕗味噌を5年熟成の生ハムで巻いた“春巻き。

ドリンクは、コースに合わせたアルコールのペアリング3種と6種、ノンアルコールのペアリング6種の3つのコースがある。

「山梨の野菜で世界に勝てる時がある。馴染みのある当たり前の野菜も、ちょっと手を加えることで、素材のポテンシャルを最大限に活かせたり。
草野球チームでどこまで持っていけるか、これこそが料理人の醍醐味」（豊島シェフ談）。

中央の大きなテーブルを囲み、シェフが巧みに扱う炎を眺めながら、奥・山梨料理の真髄を五感で味わいたい。