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野田 敬一さん(47歳) 韮崎市在住
職業:パン職人


八ヶ岳のふもと、韮崎にある石窯パン ド・ドウ。
小さいお店ながら地元の方はもちろん、遠方のファンも多くいる人気店です。
そこの店主・野田さんは、実は異色の経歴の持ち主。
その経歴とともに、お店とパンに対する思いを紹介します。

 

地元愛ゆえの退職が一転、海外へ
最初に就職したのは大手一流メーカー。
配属された札幌でメガネレンズと医療設備に係る仕事をするも、5年で退職。
理由は“いずれは山梨に戻りたい”という気持ちが強くあったから、と野田さんは語ります。
「異動希望を出していたんですけど、なかなか通りませんでした。このままでは山梨に戻れないと思い、4年目くらいに退職を志願しました。でもいろいろと引き止められて、結局5年間お世話になりました。」
退職後すぐに山梨へは戻るかと思いきや、一念発起してニュージーランドへ。
「それまで仕事が忙しくて余裕がなかった生活が一転して、自由な時間をたくさん持つことができました。せっかくの機会なので、英語の勉強も兼ねてワーキングホリデー制度を利用してニュージーランドへ行こうと決めました。正直、あまり深く考えていませんでしたが(笑)」

 

 

ニュージーランドでの生活、企業、運命の出会い
単身ニュージーランドへ乗り込んだはいいものの、なかなか良い仕事が見つからず、ホテルや皿洗いのバイトで生計を立てる日々。
しかしその仕事ぶりが徐々に評価され、気づくといくつもの仕事のオファーが入るようになります。
「現地の人たちからすると、“日本人は勤勉で真面目。しかもキレイ好きで仕事が丁寧”という印象があるようで、いい加減な私でさえ重宝されました(笑)。『こいつは使える!』と思ってもらえたようです」
着々とニュージーランドでの生活基盤を固めていく中、野田さんはニュージーランドへの日本人観光客が多いことに着目し、日本語の新聞を発行する会社を立ち上げます。
しかし起業後はすぐに順風満帆というわけにはいかず、多くの困難があったのだとか。
「最初は苦労しましたね~。例えば人が足りないから求人したのはいいけれど、良い人材が集まらなかったり。でも良いこともありました。珍しく日本人の女性が応募してきて、第一印象が良かったので採用したんです。その子が入社した翌日、ダメ元で『特集を組むために営業に行って来い』って無理難題を指示しました。そしたらなんと、その子は特集用の契約8件をすべて埋めきったんです!『こいつは使える!』って思いましたね(笑)。ちなみにその子は今、私の奥さんです(笑)」

 

念願の山梨、そしてパン職人へ
ニュージーランドに来てから5年、会社も軌道に乗り始めたころ、『もうここでやれることは大体できた』という気持ちと、ずっと胸にあった『山梨に戻りたい』という気持ちが重なり、いよいよ山梨への帰郷を果たします。
帰郷後まずはじめたのは親戚が経営する勝沼にあるパン工房の手伝い。
ここでも深く考えず就職を決めますが、これが野田さんがパン職人を目指すきっかけとなります。
野田さんはこのパン工房での手伝いの中で、同じ工程をふんでもその時の気温・湿度などにより味が変わるパンの繊細さや奥深さにふれ、その魅力にどんどんのめりこんでいきます。
「そのパン工房には2種類しかパンがないんです。その2種類は研究に研究を重ねたとても美味しいパンなんですけど。パン作りに携わって、その面白さを理解していくうちにもっといろいろな味や形、組み合わせを試してみたいっていう欲が出てきました。」

 

石窯パン ド・ドウ開店
10年の修行の後、『自分が求めるパン作りを実現させるためには独立するしかない』と決意し、2013年8月に地元の韮崎でついに“石窯パン ド・ドウ”を開店。
野田さんは当時の様子をこう語ります。
「開店するにあたっては、今までの経験すべてが役に立ってます。特にニュージーランドでの経験は糧になってますね。自分の店を持とうと思った時から、八ヶ岳と南アルプスの恵みをたっぷり含んだ美味しい水と、地元の野菜を使うことは決めていました。石窯を導入したのは、お客様により美味しくパンを召し上がって頂きたいからです。これは勝沼でのパン工房時代で培ったものです。」
そして今、野田さんはパン作りを通じて地元・韮崎へ恩返ししたいと考えています。
「私のパンと地元の野菜がミックスすることで、地元の良さを少しでも伝えることができれば、と思っています。それと同時にパン作りの面白さも多くの人に知ってもらいたいですね。」

パン作りに携わって15年余り。
今でも試行錯誤の毎日。
それでも楽しいと思えるのはパンと山梨への熱い思い、そして奥様の支えがあるからこそ。
石窯パン ド・ドウでは、今日も笑顔と笑い声が行きかい、美味しいパンが生まれています。


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